2013年03月28日

ALL-WE社会とWE &-THEY社会

試論「日本とアジア」(9)
ALL-WE社会とWE &-THEY社会
イギリスの社会人類学者E・リーチによると、「他人」は2種類に分けられます。
WE (われわれ)とTHEY(彼ら) です。
WE(われわれ)は、基本的に血族です。
それは、「敵であることが証明されるまでは味方である」人々。
とりあえず、あなたを殺さない(だろう)人々。
地理9.JPG
他方、
THEY(彼ら)は、配偶者を含めて、血族以外の人々。それは、つまり、
「味方であることが証明されるまでは敵である」人たち。
では、敵とは、なにか?
とりあえず、あなたを殺す(かもしれない)、あるいは、あなたから(モノや家族を)奪う(かもしれない)――そんな恐ろしい人々。
ジャングルで、あるいは砂漠で遭遇した、見知らぬ、ことばも通じない他人。
あなたを殺すかもしれない、恐ろしい敵?
多分、そうです。
でも、実際は、そうではないかもしれません。
そのことを、どう確認するか?
笑顔、あいさつ、贈り物――THEYに対処する、生活の知恵です。
それが国家規模になれば、外交。
わたしの考えですが、そんな知恵、そんな外交が、驚くほど欠如しているのが、わたしたち日本人です。
知らない他人に対する、徹底した仏頂面――新幹線で、航空機で、公園で……ごく普通に体験することです。
なぜか?
縄文人と弥生人を1000年以上も、もちをつくようにして、こねまわしてできた民族だからだ、といったら間違いでしょうか?
いわば、同質社会。
知らない他人でも、「自分を殺すかもしれない」とまでは考えない甘さ。
だから、安心して、付き合い(外交)放棄!
それがつまり、わたしたちの「人類みな兄弟」の裏側ではないでしょうか?

もし、異質なものがいたら――それは人(ヒト)ではありません。
鬼です。異界からわれわれの世界に迷い込んで来た「鬼」。
抹殺し、排除すべき鬼。
「人類みな兄弟」+「異質は、異界から来た鬼」――そんな、わたしたちの人間観は、世界でもひどく珍しい、そして、風変わりなものだろう、と思います。
posted by Yoshimura_F at 00:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 卒業論文集
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