産業の時代は、マスメディアの時代。
新聞、ラジオ、テレビ……どれをとっても、ある種の装置産業です。
立派な社屋。印刷機やテレビ塔。それなりに選びとった社員集団――。
そして、独占した情報発信!
マスメディアの特色のひとつは、地域限定だということです。
新聞は、夜の間に印刷して朝には届けます。
「配達可能範囲」という、制約があります。
ラジオやテレビは、電波塔を必要とします。
その電波の到達範囲という、限界があります。
特定の装置を備えた限られた発信者が、同一の情報を、限られた地域社会に伝える――それが、マスメディア。
人々の考えをひとつにまとめる。
マスメディアは、地域社会あるいは国家(これもひとつの地域社会です)形成の核でした。
ウェブメディアは、違います。
大規模装置は、不要。
ほぼだれでも、発信できます。
地域に縛られません。
地球の裏側の人々とすら、直接、交流できます。
「だれでも発信者、だれでも受信者」――それが、ウェブメディアの世界です。
ウェブメディアで結ばれた世界は、当然、地域社会や国家とは無関係です。
新聞やテレビの退潮。
若者が新聞を読まなくなった?
テレビがおもしろくなくなった?
――いえ、もっと深い事情が、ありそうです。