2013年02月01日

「老学(老いがく)入門』その32

「老学(老いがく)入門』その32
『回光返照の退歩を学ぶべし。自然に心身脱落して、本来の面目現前せん』(普勧座禅儀<遅く勧める座線の仕方>道元禅師)
(自己のこころの光を自己に回らして自己を照明すること=自己そのものが自然と同化する。先走るこころのみではなく時に立ち止まり、後ずさりすることで、己を知るべし。そうすれば、身も心も自己のしがらみ、観念にとらわれず脱却し、楽になることで、自然がその根源から有している実相が見えてくる)
『老いぬる人は精神衰へ、淡くおろそかにして、感じ動く処なし。心おのずから静かなれば無益の技もなさず。身を助けて愁いなく、人の煩ひなからんことを思う』(徒然草 第172段)
(老人は精神が衰え、淡白で疎かであっても、深く事物に感じて、こころ動揺することがない。こころが自然に冷静なれば、無益な行為はしない。おのれを弁えて、他人に無益な動揺、心配を感じさせないようにと思う)
「人はだれもが、やがては老い逝く定めにあるものです。為れば、限られた<生>の間際には、己の終焉の心象を整えて、安楽、安念を祈願するべく心得たいと思います」
――そう書いて、川上さんは筆をおいています。。
                          (完)
SCN_0001.jpg
posted by Yoshimura_F at 07:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 卒業論文集