2011年12月18日

24)教師の復権

参政権の年齢引き下げが実現したら……(10)

かつて「聖職」といわれた教師という仕事。
いま、もっとも抑圧された職業に変わっていないでしょうか?

親たちからの要求。
文科省や教育委員会から押し付けられる事務仕事。
未熟なくせに、小生意気な生徒たちーー。
まるで、上と下の連合軍にはさまれた、哀れな中間管理職です。

しかし、考え方を変えることはできます。
生徒はあなたたちの人質です。
人質たちをおさえることで、あなたたちは、親たちとも文科省や教育委員会とも渡り合えるでしょう。
「一票をもつ」生徒たちを、一丁前の人格とし扱うことです。
彼らに対して、指導者としての権威を回復することです。
彼らを説得し、味方につける。
そうすれば、あなたは影の権力者です。
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2011年12月17日

23)ジェンダー問題

参政権の年齢引き下げが実現したら……(10)

少子化とならんで、ジェンダーも現代の課題です。
実をいうと、わたし自身、よく理解できていません。
多分、「女性であること」による社会の壁を撤廃するべきだ、ということだと思います。

「乳幼児の票は、母親に優先的に与える」
そう決めるだけで、母親は2票の権利が生じます。
これは、強い。
女たちがもし男たちよりも弱者であるなら、彼女たちが彼たちの2倍の権利を行使することも許されるでしょう。

「子どもであること」による社会の壁もあります。
そこに、彼女たちが創造力の翼を広げてほしいものです。
       (つづく)
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2011年12月16日

22)子どもをつくろう。彼らは、味方だ!

参政権の年齢引き下げが実現したら……(9)

少子化がいわれます。
それは、マーケットの規模が小さくなることです。
新聞の発行部数も、学校の入学者も、電車の乗客も、空家を借りる人も……みんな減ってゆく、ということです。
できることなら、せめてゆっくり縮んでいってほしい。
ほとんどあらゆる業界の人たちが思っていることです。
だから、少子化対策がいわれます。

子どもが票になる。
それなら、せっせと子どもを産んで頑張ろう!
――こんな「政治的」母親、父親がいてもおかしくないように思います。
「子どもをつくろう。かれらは、味方だ!」
――こんな政治スローガンも悪くありません。
       (つづく)
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2011年12月15日

22)成績はあがる

参政権の年齢引き下げが実現したら……(8)

子どもが政治に現を抜かすと、学力が落ちるーー。
わたしにいわせれば、とんでもない「いいがかり」です。

これまでだって、(まともな)子どもは勉強しませんでした。
何のために勉強するのか、そこのところが理解できないからです。

自分の運命を自分で決められない。
そんな状況で、本気になれますか?
本気で勉強できますか?
できたとすれば、それは「順位」だけに血道をあげる、競走人間に育てられた子どもだったからです。

学校時代は、ほどほどに学び、遊んで過ごす。
成人し、仕事に就いてから、必死に勉強する。
そして、もっと早くから勉強しておけばよかった、と後悔する。
――多くの人々がたどってきたパターンです。

なぜ、そうなるか?
仕事を始めて、ようやく、自分の運命の当事者となるからです。
人は、自分の運命の支配者になったとき、勉強の必要に気づく。
――明快な真理です。

「一票を行使する」
それは、自分の未来に思いを巡らし、決断するということです。
運命の当事者としての自覚を持つときです。
そのとき、勉学の必要は、強烈に感じられるでしょう。
       (つづく)
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2011年12月14日

21) 「天性の政治家」

参政権の年齢引き下げが実現したら……(7)

前項を繰り返します。
子どもが選挙権を持つ。
子どもたちが、権利を自覚する。
子どもたちが、自分たちの「利益」を図る。
その実現に向けて、論を戦わせ、たがいに説得し、反発し、団結する。
日本中を「政経塾」にできないでしょうか?
そこから、30年、40年後の世界的政治家が育つ可能性はないでしょうか?
たとえば、世界的なサッカー選手の多くが、幼い段階で才能を見いだされ、サッカーに親しんで育っている現実があります。
自他ともに認める「政治の天才」。
それが、子どものときからの政治活動で育つ可能性はないでしょうか?
       (つづく)
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2011年12月13日

20)「未来のリーダー!」

参政権の年齢引き下げが実現したら……(6)


これからの政治、それは世界規模の政治です。
世界各国の指導者と渡り合い、世界中の人々を説得できる、コミュニケーション能力が求められます。
仲間を集める度量、機を見て動く機転、不利と見ればじっとしている我慢、必要なときには諄々と説く誠意……そんな能力です。
そのような能力が、20歳を過ぎてからの政治教育で育てられるでしょうか。

思い浮かぶのは、松下政経塾のことです。
実際に、多くの政治家を育てました。この点で、松下幸之助氏の構想力の凄さを実感させます。
しかし、民主党政権は、その限界も見せてしまいました。
「政治家になりたい!」
そんな人たちの集まりでしかなかった、ことです。

夢があってもビジョンがなかった。あるいは、
リーダーシップがなかった(!?)。

子どものころの餓鬼大将。
自他共に認める、天性のリーダー。
「政治家になってほしい(!?)」
そう思わせる子どもら!
彼らをリクルートし、大きく育てる方法はないでしょうか?
子どもたちを隔離しない。
大人たちといっしょに政治に関わる。
それも、真剣にー―。
そういう中でこそ、未来のリーダーは育っていくのではないでしょうか?
     (つづく)
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2011年12月12日

19)日本の失敗

参政権の年齢引き下げが実現したら……(5)


明治維新は、20代、30代の若者たちの力で実現しました。
名もない、地位もない、ただ、新しい国をつくろうという熱意に燃えた若者たちです。
しかし、彼らのつくり上げた日本国には、致命的な欠陥がありました。
リーダーの養成に「学力主義」で臨んだことです。
全国から秀才たちが陸軍大学校や海軍大学校、あるいは東京帝国大学に集められました。
そして、大学と席次が将来の地位と連動する仕組みが作られました。
太平洋戦争の敗北を招いたのは、直接には、この仕組みで成りあがった秀才たちです。
戦後日本も、学力主義を踏襲しました。
全国の秀才が東京大学法学部に集まり、官民の指導層を固めました。
彼らを中軸にした「利権の構造」に、この国はいま、がんじがらめに縛られています。

学力とは違う、新しいチャンネルが必要です。
隔離された環境で育った「勉強機械」はもう、ご免。
大人たちとつながった社会、日常的な社会活動、そして、政治!
そこから、自他ともに認めるリーダーが育つ可能性はないでしょうか?
           (つづく)
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2011年12月11日

18)旧時代をパージしよう!

参政権の年齢引き下げが実現したら……(4)


明治維新がなぜ、成功したか?
太平洋戦争後の日本の経済発展は、なぜか?

「天井が抜けたからだ」
そんな説明があります
旧時代の指導者がいなくなった。
それで、若い人々が指導者として自由に活動できた。
いわば、既得権者の総退場があった。
だから、うまくいった、と。

その逆が、太平洋戦争です。
日露戦争から、35年後の開戦。
指導者たちはまだ、日露戦争の勝利の余韻に酔っていました。
「航空戦の時代」に、「大艦大砲主義」の幻想をみていた。
そして、とんでもない戦争をして、見事に敗れた。

いま、どうでしょう?
戦後の苦闘、そして、高度成長…・・・振り返ってみると、「現代の日露戦争」です。
人口が減少し、市場も、生産能力も低下する現代。
もう、高度成長の夢をみることはできません。
もう、大艦巨砲に頼ることはできません。

尾てい骨のように、高度成長時代を引きずった年長者は、もう、不要です。
彼らをパージする。
そして、新しい時代を切り開くきっかけをつくる。
尾てい骨をもたない、子どもたちの票に期待される点です。
       (つづく)
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2011年12月10日

17)新しい「政治のことば」

参政権の年齢引き下げが実現したら……(3)

政治家たちは、君たちを説得し、巻きこもうとするでしょう。
「子どもでもわかる」、新しい説得の技術。
きっと、政治のことばが変わります。

平易で、明解でなければなりません。
そして、それこそが世界で通用することばです。
地球化時代の現代。
政治家たちは、実は、自国民だけでなく、世界中を説得することを求められています。
アメリカ国民も、中国国民も、インドネシア国民も、フランス国民も・・・・・・
「子どもでもわかることば」
それは、世界を説得できる普遍語です。

そして、新しいことばの登場は、当然、政治そのものを変えることになるでしょう。
平明で、分かりやすい政治に……。
       (つづく)
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2011年12月09日

「未来からの声」

参政権の年齢引き下げが実現したら……(2)

19)「未来からの声」
いま、選挙権をもっているのは、成人だけです。
高齢化社会です。
老人がどんどん増えています。
だから、政治は、老人を大事にします。

他方に、「政治に見捨てられている」
――そんな感覚を持った人々も少なくありません。
とくに、20代、30代の、非正規雇用など恵まれない立場にいる若い人たちです。

君たちが選挙権を持てば……。
状況は変わってくるでしょう。
「俺たちの仲間」――20代、30代の若い人々は、元気になるでしょう。
そして、君たちの声を、政治は聞かないわけにはいきません。
未来について、約束しないわけにはいきません。

「不都合なことは、なんでも、未来に先送りする」
そんな政治が、少しはあらたまるのではないでしょうか?

「未来からの声」
それが、必要です。
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2011年12月08日

18) 活気づく日本

参政権の年齢引き下げが実現したら……(1)

次に、子どもたちが参政権をもつとどんなにいいことがあるか
でも、その前に「権利のための闘い」が必要です。

まず、立ち上がる!
(小学生が)クラス討議をし、先生を突き上げる。
親を口説く。街頭に出る。
どこでも、デモや集会!
市役所や教育委員会、地方議会、そして、国会にデモをかける。

多分、SF小説の世界のことです。
でも、そんな大規模なエネルギーの放出を、この国は必要としていないでしょうか?

天照大神が、天の岩戸をちょっとあけたくなるような大騒ぎ。
引きこもりの青年男女、不安定、低賃金に苦しむ非正規雇用の青年男女、過重労働でこのまま仕事続けると死んでしまうと思っている青年男女。
彼らも声をあげたくなるような大騒ぎ。
それを、この国は必要としていないでしょうか?
       (つづく)
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2011年12月07日

17)君たちの味方

「ツケを未来に回す」仕組み(17)

君たちがなぜ参政権をもてないか?
「すでに参政権をもっている大人たちにとって都合が悪いからだ」
そう、説明しました。
君たちが権利を持ち、「未来の安全」を主張する。
それは、「いまの安全」を第一に考える大人たちにとって、大きな脅威です。
君たちの権利を妨害するのは、当然のことです。
だから、君たちは戦い取るしかありません。
むかし、おんなたちが戦ったように……。

君たちには、強力な味方がいます。
老人たちです。
君たちが力をつける。
これは、老人には、大きな脅威です。
自分たちが優遇されなくなるかもしれません。
シルバーシートも、バスの老人パスも廃止されるかもしれません。

かなり年上の知人に、こんなことを聞かれました。
「枯葉は、どうして落ちるか知っていますか?」
「まだ、命がある葉が落ちるのですよ」
???
「葉の下に、(新しい葉の)芽がある。古い葉は、秋の強い陽光から、その若布を護っています。そして、若布が十分に育ったことを確認して、ポトリと落ちるのです」
「その落ち葉は、まだ、生きているんですがね」
――老人たちは、こんな風に、死に向けて準備を進めています。

ふと、太平洋戦争中に、特攻隊員として死んでいった若者たちのことを思い出しました。
ほぼ一様に、未来の日本への希望を語っていました。
「子どもたちのために……」

おそらく、死を意識したとき、未来は一層強く意識されます。
「よりよい未来」
それは、「よりよい子どもたちの時代」といことです。
老人たちは、きっと、君たちの味方になってくれます。

ただ、もし、君たちが立ち上がるなら……。
      (つづく)
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2011年12月06日

16)「義務教育」修了

「ツケを未来に回す」仕組み(16)

「参政権」に、国民であること以外に条件をつけてはならない。
これが、原則です。
そして、0歳でも国民です。

「0歳の赤ちゃんに、政治的判断ができるか?」
当然の疑問です。
0歳の彼または彼女の権利を、どのように表現させるか?
方法はまったくないわけではありません。
一例、
母親が代理投票する。
おそらく、母親なら未来に少しは敏感なはずです。

もう少し、現実的な案もあります。
0歳はあきらめる。そして、
「義務教育終了をもって、成人とする」

小学校、中学校での学習は、国民としての義務です。
その義務を果たした後なら、「成人」として、選挙したり、立候補したりできる。
当たり前のことのように思えます。
具体的には、14〜15歳です。
むかしの「元服」の年齢にほぼ一致します。
       (つづく)
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2011年12月05日

15)成人とは? その2

「ツケを未来に回す」仕組み(15)

何歳から成人とするか?
いろいろな考え方があります。

海外で見ると、18歳成人が標準です。
世界の189の国と地域の中で、168の国と地域で18歳(16、17歳を含む)が成人年齢です。
 OECD(経済協力機構)に加盟する30ヵ国の中でも、18歳が28カ国、他は韓国の19歳と、日本の20歳となっています。

日本でも、「国民投票法」(2007年)では、投票年齢は18歳以上とされています。
これを受けた法制審議会・民法成年年齢部会は、成人年齢の引き下げを勧告しています。
18歳からが適当だ、というのです。

ただし、この国の18歳は、権利を欲しがっていません。
       (つづく)
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2011年12月04日

14)成人とは?

「ツケを未来に回す」仕組み(14)

日本国憲法第15条3項で、「公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する」と書かれています。
では、何歳をもって成人とするか?

20歳が「成年」とされたのは、1876年の「太政官布告41号」から。
701年に制定された「大宝律令」で、税を満額支払う「正丁」は21歳から60歳とされていたことを受けたものだ、といいます。
それを満年齢に直して、20歳とした、というのです。

しかし、日本の伝統ということでいうと、江戸時代までの「成人」年齢は、だいたい13〜15歳です。
わたしが付き合いのあった滋賀県大津市瀬田の「南大萱地区」では、「ながいり」という儀式があります。
地区の男の子たちの「元服式」です。
3年に1度、1月15日に、数え14、15、16歳(満13〜15歳)の男子が集まって、「若連中」という集まりを組織します。
「若連中」になって初めて、地区の神社のお祭りに正式に参加します。
「ながいり」を済ませると、(むかしなら)一人前の大人です。
村の道路や河川の工事、池の堤防や河川敷の草刈などに動員され、祭礼や法事にも親の名代として出席できます。

武士の元服式も、だいたいその年齢だった、といわれています。
男性だと、幼名をやめて大人の名前を名乗り、まげを結います。
女性でも、その段階で、お歯黒をしました。
この年齢で結婚することも、よくあることでした。
(つづく)
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2011年12月03日

13)未来からの刃


「ツケを未来に回す」仕組み(13)

納税者からすべての男性成人へ、そして、女性成人へ――参政権は、しだいに広がってきました。
しかし、いまも制限が付けられています。
「成人」という条件です。

そして、「成人」である大人たちは、「不都合を未来につけ回し」しています。
なぜ、そんなことができるか?

君たちが黙っているからです。
君たちが、どんな災難をかぶせられても、「ノ―」をいえないからです。

君たちは、未来の代表選手です。
未来から現代に突き付けられた刃の突端。
それが君たちです。
君たちのうしろには、無数の、ものすごい数の「まだ生まれていない」子どもたちがいます。
彼らが、君たちに寄せる期待。
どうして、黙っていられるでしょう。
未来の利益を主張し、守る。
そのために、戦う!
君たちの義務です。

       (つづく)
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2011年12月02日

12)「戦い」の歴史

「ツケを未来に回す」仕組み(12) 

君たちに必要なこと。
それは、権利を自覚すること、立ち上がること、そして、
戦うことです。

政治はかつて、国王や皇帝に神からあたえられた特別な権利でした。
「それはおかしい!」
フランス革命(1789年)は、そのことに対する異議申し立てです。
「国税を払う男性」市民が、政治を担うことになりました。

「でも。おかしい」
税金を払わなくても国民だ!
そして、すべての成人男子が、政治に参加することになりました。
それが、いわゆる普通選挙です。
フランスでは、1848年に成立しました。
日本で、1924年に実施された「普通選挙」も、成人男子だけのものでした。

「でも、やはり、おかしい!」
次は、おんなたちが異議申し立てをしました。
フランスでいえば、女性が選挙権を得るのは、1944年です。
男性だけの「普通選挙」から、実に、100年近くが過ぎています。
日本で、女性も参加する「完全普通選挙」が実現したのは、敗戦後の1945年でした。

参政権が拡大する度に、いろんな反対論がありました。
「税金も払えない連中が投票すると、無責任な政治になる」
「おんなに、政治は分からない」
「……」
みんな、間違いでした。
君たちが選挙権を得たとき――そのとき初めて、
反対した人々は、自分たちの間違いに気づくのです。
       (つづく)
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2011年12月01日

11)「無限大の格差」

「ツケを未来に回す」仕組み(11)

「一票の格差」ということがいわれます。
たとえば、最高裁の判断では、2009年の衆院選は「違憲状態」です。
 この選挙で、有権者の数がもっとも多かったのが、千葉4区。もっとも少なかったのが高知3区。
 両者の間に、一人の衆議院議員に対する有権者数の割合に2・30倍の開きがある。
 これは、「1票の価値」が2・30倍違うということであり、すべての国民の平等をうたった憲法13条に違反している、というのです。
 
 個人的には、ばかげた訴え、そして、ばかげた判決だと思っています。
 「公平」は、こんな算数の話ではない、と思うのです。
 過疎地の1票と、過密な都会の1票とは意味が違います。
 そのことに配慮した、「公平」があってもよいのではないか?
 そんな風に思うのです。
 第2次大戦いらいのこの国は、ある種の「公平病」患者です。
 それも、「算数」レベル!

そのことは、しかし、いまはわきに置きます。
 確認するなら、せいぜい2・30倍ほどの格差の話です。
 それとは、比較にならない格差があります。
未成年者は、1票を投じることができません。
いわば、「無権者」です。
有権者と比較するなら、格差は実に「∞倍」です

 「1票の格差」を問題にするほど公平観念の敏感な人たち。
彼らがどうして、「無限大の格差」について黙っているのでしょう?
とても、不思議なことです。
                    (つづく)
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