2011年10月31日

大集会 続く

インド版「People’s Revolution(人民の革命)」(24)

首都・ニューデリーの国会などがある一帯からインド問にかけての大通り。
連日、デモ、集会が続いています。
わたしは、それを知りません。
ニューデリーに到着した翌20日の朝、列車でアグラに向いました。
列車内で新聞が(無料で)配られました。
アンナ・ハザレの記事満載です。
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2011年10月30日

インド版「People’s Revolution(人民の革命)」(23)

インド版「People’s Revolution(人民の革命)」(23)

政府は、ハザレ兄貴の釈放を決めました。
しかし、今度は、兄貴はいうことを聞きません。
獄中に‘居座って“しまったのです。
予定しているハンスト集会に、政府が条件をつけたのが理由です。

ハザレ兄貴が出獄したのは、19日です。
政府が、集会の参加人員などについての条件を外したからです。
出獄しても、ハザレ兄貴は、断食をやめません。

その日の夜、わたしはニューデリーに到着しました。
 インディラ・ガンディ国際空国。
 わたしが知っている20世紀のハレム空港と比べると、夢のような明るさです。
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 入国検査官は気楽に、写真撮影に応じました。
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 税関職員がタバコをせびるようなこともありません。
 ふとみると、たくさんの監視カメラが天井から目を光らせています。
 「職員を監視しているのだな」とふと考えたのは、旧時代の人間だけかもしれません。
 そして、一歩空港を出て、ほんとうに驚きました。
 競うように客を奪い合う、人相の悪い白タク運転手が一人もいないのです。
 インドの大きな変化を感じないわけにはいきませんでした。

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2011年10月29日

インド版「People’s Revolution(人民の革命)」(22)

インド版「People’s Revolution(人民の革命)」(22)

自分たちの「ジャン・ロクパル(人民のロクパル法案)」の採用を要求するハザレ兄貴とチーム。アンナ。
彼らが、運動の始動日として定めたのは、8月16日でした。
首都ニューデリーで、ハザレ兄貴がハンストにはいり、同時に、大集会を開催する――そんなプランでした。
4月のハザレ兄貴の断食のときのことを思うと、政府には悪夢です。
政府は、その朝、ハザレ兄貴を拘束しました。
彼にとっては、ありがたい展開だったともいえます。

ハザレ兄貴は、獄中で断食を始めました。
テレビやマスコミで大々的に伝えられました。
兄貴を支持し、「ジャン・ロクパル」を求める集会やデモはますます盛り上がります。
その日の夜、政府は兄貴の釈放を決めました
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2011年10月25日

運動の開始日

インド版「People’s Revolution(人民の革命)」(21)

政府が、独自にロクパル法案を作成し、8月初め、国会に設けた特別委員会で審議に入りました。
しかし、ハザレ兄貴およびチーム・アンナの見方では、政府案は、いくつかの点で汚職追放には程遠い“骨抜き”法案です。
ハザレ兄貴は、政府のロクパル法案に対して、自分たちの法案を「ジャン・ロクパル(人民のロクパル法案)」と名付け、その採用を要求する市民運動を開始しました。
政府案と「人民案」の違いは、前に説明した通りです。

ハザレ兄貴の断食の開始、そして、「人民案」実現に向けた大々的な運動の開始に予定されていたのは、8月16日でした。
わたしがインドにはいる3日前です。
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2011年10月24日

ハザレ兄貴の首都レビュー

インド版「People’s Revolution(人民の革命)」(20)

なぜ、これが「People’s Revolution(人民の革命)」なのか。
アンナ・ハザレとはどのような人物か
ロクパル法案とは、どのような法案か
――曲がりなりにも、押さえてきました。

つぎは、「革命のプロセス」です。
 
「政府から独立した強力な汚職防止・取締り機関(ロクパル)」の設置法案は、1969年に初めて国会に提出されて以来、計10回いろいろとかたちを変えながら議会で議論されてきた、といいます。
 しかし、国会議員の多くが熱意を持つ法案ではありませんでした。
いつも未採決のままお蔵入りです。

ところが、去年から今年にかけて、立て続けに数件の大型汚職事件が摘発されます。
(地方的活動家に過ぎなかった)ハザレ兄貴が首都ニューデリーに出て、ロクパル実現を訴える断食を始めたのは4月です。
ハザレ兄貴の首都レビューです。

そんな彼の周辺に、いつの間にか、彼の運動を支援する若く有能な活動家たちが集まっていました。「チーム・アンナ」といいます。
これを支持する世論のたかまり。
危機感をもった政府は、ロクパルの設置を約束し、ハザレ兄貴はいったん断食を中止しました。
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2011年10月23日

インド版「People’s Revolution(人民の革命)」(19)

インド版「People’s Revolution(人民の革命)」(19)

前回まで、途切れ途切れになってしまったのは残念ですが、インドのロクパル法案について、政府案と「民衆案」を比較してきました。

この作業を通してわたし自身が学んだのは、制度設計の重要さです。
「汚職追放のための組織をつくろう」
それを叫ぶこと、そして、つくらせることは、比較的容易です。
しかし、「どのような組織にするか?」
その制度設計は、素人には、途方もなく難しいことです。

しかし、なにごとであれ、制度設計によって、結果は大きく変わってきます。
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2011年10月22日

[「検察官+裁判官」

インド版「People’s Revolution(人民の革命)」(18)

14)補償
人民案;関係官僚に補償金を支払わせることができる
政府案;不問
問題点  
被害者がいれば、加害者はその損害を補償する。
当然のようにも思えます。
「検察官+裁判官」
そんな組織を、ハザレ兄貴のチームは目指しているようです。

15)被害者・証人の保護
人民案;汚職事件の被害者や証人は、ロクパルが保護できる
政府案;ロクパルにそのような権限はない
問題点;
保護がないということは、実際に、抹殺される恐れがある、ということです。
うっかり苦情申し立てもできません。証言もできないでしょう。
そんな状況で捜査か?
証言できるか?
チーム・アンナの言い分はもっともです。

16)損害賠償
人民案;調査の結果、国家に損失をあたえたことが明らかになれば、ロクパルは当該者に賠償を命じることができる
政府案;不問
問題点;
前にあった「14)補償」は個人が受けた被害に対する補償です。
ここで取り上げられているのは、国家が被った被害に対する補償です。
汚職の多くが公金(税金)を対象にしています。
それは国民の損失であり、補償すべきだ。
それが、チーム・アンナの立場です。
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2011年10月21日

判事の犯罪

インド版「People’s Revolution(人民の革命)」(17)

12)判事
人民案;判事の汚職も調査対象とする
政府案;不問
問題点;
判事であれば、清廉潔白というのは、現実的ではないでしょう。
判事であっても、金品をもらって歪んだ判決を下す可能性は否定できません。

13)却下
人民案;ロクパルは、却下する場合も含めて、すべての苦情申し立てに対処する
政府案;国会議長が、受け付けた苦情の中から適切な事案を選び、ロクパルは国会議長から提示された事案について捜査する。
問題点;
苦情申し立ての中には、「筋の悪い」ものもあるでしょう。
だれかを陥れることをねらった苦情だって、考えられます。
それでも、ともあれ「調べてみる」のが原則でしょう。
政府案では、政治家に不都合な苦情は取り上げられない恐れがあります。
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2011年10月18日

インド版「People’s Revolution(人民の革命)」(16)

インド版「People’s Revolution(人民の革命)」(16)

9)首相の捜査
人民案;ロクパルは、首相の犯罪についても捜査できる
政府案;首相は外交、防衛、保安の責任者であり、捜査の対象とはならない
問題点;
ここに示された政府案は、政府案の第6項「ロクパルは国会議員、大臣、首相だけを対象に調査できる」と矛盾しています。
資料の間違いとしか思えません。
それは別にして、日本ではどうなっているのでしょう?

10)期限
人民案;苦情申し立てから1年以内に調査を終了する。次の1年以内に判決を出す
政府案;ロクパルは、着手から6か月〜1年以内に調査を終了する。裁判については、とくに期限を設けない。
問題点;
政府案では、調査や裁判の引き延ばしがありそうです。

11)権限
人民案;ロクパルは、調査の結果「クロ」の結論が出た官吏などに対し、直接に解雇などの処分をする権限をもつ。
政府案;官僚の汚職は取り扱わない
問題点;
繰り返しになりますが、オンブズマンとは、「行政権の行使(または不行使)に対する国民の苦情申し立て」を調査する機関です。
官僚を対象から除外して、なんのオンブズマンでしょう?
しかし、汚職捜査機関が直接、解雇などの処分をできるというのも、どうかなという気がします。
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2011年10月17日

インド版「People’s Revolution(人民の革命)」(15)

インド版「People’s Revolution(人民の革命)」(15)

7)構成
人民案;議長を含め11人で構成し、うち4人は法律専門家とする
政府案;退職した判事3人で構成する
問題点;
チーム・アンナは、政府案について、こう批判しています。
「退職を直前にした判事らの独立が損なわれる」
(退職後の第2次就職として)ロクパルに任命されたい一心で、退職前の判事たちが政府の思いのままにコントロールされるだろう、というのです。

8)メンバーの選択
人民案;法曹界、選挙管理委員長、会計検査院長、有識者で任命委員会を組織する
政府案;副大統領、法相、内相で任命委員会を組織する
問題点;
政治家によって選ばれた人たちが、政治家による汚職を調べられるでしょうか?
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2011年10月16日

インド版「People’s Revolution(人民の革命)」(14)

インド版「People’s Revolution(人民の革命)」(14)

6)管轄権
人民案;ロクパルは、政府のあらゆる犯罪捜査組織に優先し、政治家、官僚、判事を調査、訴追できる
政府案;ロクパルは国会議員、大臣、首相だけを対象に調査できる。官僚に対しては、(調査、訴追の)権限を持たない。
問題点;
政府案では、ロクパルが対象にするのは、政治家の汚職だけということになります。
しかし、前にも書いたように、オンブズマンは、「行政権の行使(または不行使)に対する国民の苦情申し立て」を調査する機関です。
お役人についての苦情が受け付けられなくて、何のオンブズマンでしょう?
チーム・アンナはこういっています。
「汚職は政治家と高級官僚の合作であることが多い。片方だけが対象ということでは、捜査ができない」
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2011年10月02日

インド版「People’s Revolution(人民の革命)」(13)

インド版「People’s Revolution(人民の革命)」(13)
5)いい加減な苦情申し立て
人民案;苦情申し立てがいい加減だったり、間違っていることが分かれば、罰金刑とする。
政府案;「不届き、いい加減」な苦情申し立ては、厳罰に処す。そのような告発者について、ロクパルは簡易裁判を行い、収監できる。
問題点;
ためにする、いい加減な告発が山積したら、ロクパルは機能停止に陥るでしょう。告発には、ある程度の根拠が必要です。
しかし、Wikipediaの定義に従うと、ロクパルの原型ともいうべきオンブズマンとは、「行政権の行使(または不行使)に対する国民の苦情申し立て」を調査する機関です。
最初から「厳罰」で脅してしまったら、告発者がいなくなる可能性もあります。
チーム・アンナは、「政府案は、腐敗と戦う人々を脅すものだ」と警告しています。
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2011年10月01日

インド版「People’s Revolution(人民の革命)」(12)

インド版「People’s Revolution(人民の革命)」(12)

3)訴追権
人民案;ロクパルは、犯罪捜査権をもち、訴追できる
政府案;ロクパルにそのような権限はなく、予備的な調査をする。
問題点;
政府案にある「予備的な調査」は、どのような権限をもとに行うのでしょうか。強制力のない調査で真相に迫れるでしょうか? 訴追の権限もなく、ちゃんとした捜査ができるでしょうか?
また、ロクパルの「予備的な調査」をもとに、だれが、あるいはどの組織が「本格的な」調査を行い、訴追するのでしょうか?
何もかもあいまいです。

4)CBI(インド中央調査局)との関わり
人民案;汚職事件を捜査するインド中央調査局は、ロクパルに併合する。
政府案;CBIとの関係は不明
問題点;
CBIは、日本でいえば、かつての東京地検特捜部のようなものです。
これまでも、大臣や政府高官、国会議員などのからむ汚職事件を摘発してきました。
人民案は、これをロクパルの傘下に収めるとしています。
政府案では、ロクパルができることで、CBIが消滅する恐れがあります。
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